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恭一は朝から落ち着かなかった。


それは今日が近藤の誕生日だからだ。

付き合ってから初めての誕生日。


イベント事に興味の薄い恭一だが、誕生日ともなれば別だ。



ちゃっかりプレゼントなんかも用意した。



気合いを引き締めて携帯の通話ボタンを押す。



着信音のあと近藤の声が聞こえてきた。



『もしもし?』
「あ、近藤?」
『ああ、どうした?電話なんて珍しいな。いつもメールなのに。』



怪訝そうな近藤の声。



「たまにはいいだろ。」
『まぁな。で、どうした?』
「今日さ、暇?」
『ああ、暇だけど…』
「じゃあ今から駅前来てくんね?」
『今から?』
「うん…」


いささか急すぎたかもしれない。


前もって言わなかったのは、言えなかったからだ。

言おうとしてもなかなか口に出せず、
結局今日までズルズルと先延ばしにしてしまった。




「無理、か?」
『いや、分かった。十分ほど掛かるけどいいか?』
「うん。それは大丈夫。」
『じゃあ、また後で。』



そう言われ、電話が切れた。



――良かった。
近藤って優しいよな。
嫌な様子とか全然見せないし。
女に持てる理由分かるよ…。



複雑な心情を抱え、恭一は駅前へと向かった。