握り締めた携帯は、今日も着信音を鳴らしてはくれない。


恋人の転勤で遠距離になって3ヶ月。

それまでは、周囲が呆れるほど毎日のように会っていたから、離れ離れになって最初の2週間は毎日泣いていた。


彼は転勤先で慣れない毎日に身を置きながらも、寂しがり屋で甘えん坊の私を気遣い、忙しい合間を縫って電話をかけてきてくれた。おやすみメールだけの日もあるけれど、たったそれだけでも私には嬉しかった。


本当は、声が聞きたい。
顔を見たい。
大好きな、あたたかい大きな手のひらで、私の頬を撫でてほしい。


そんな我儘を飲み込んで、物分かりのいい女のふりをして、彼の仕事の邪魔にならないようにと、自分から電話するのは控えていた。


これを機に、自立したイイ女になって‘彼を二度惚れさせる!’なんて意気込んでる。