キモチの欠片

お昼休憩でいつものように食堂で唐揚げ定食を食べていた。

「あーっ、柚音発見!」

広報部の同期、藤沢遥が背後から抱きついてきた。


「うわっ」


箸で掴んでた唐揚げがあと少しで口に、ってところでポトリとテーブルに転がった。

最後の一個だったのに……。


「あ、ごめんね。唐揚げ」


遥はテーブルに転がってる唐揚げを手で摘まんで何事もなかったようにお皿の上にのせる。
何してくれんのというように隣に立ってる遥をジロリと見上げた。


「そんな顔しないでよ。可愛い顔が台無しだよー」


両頬をプニプニと摘まむ。

その右手、唐揚げの油が付いてるんだけど。


「もぅ、いいよ。で、なんか用があったの?」

ヌルッと油のついた頬をハンカチで拭いた。

遥はガタッと椅子を引き隣に座り、ニヤニヤ笑っている遥に嫌な予感しかしない。


「さっすが、柚音。察しがいいね」




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