あなたには音をあたしには色を
4.



………


暮れていく窓の外には、藍色の空が広がっていた。

その深い深い藍と、薄氷の様なブルーのグラデーションは、多分何物も敵わない。

そう、多分。
光郎の言っている事はそういう事なんだろうけど。
そこに近付きたいと思う事は、やっぱりおこがましい事なんだろうか。


全体として正しいかどうかは、目的ではなく結果なのではないだろうか。

表現するという事は、いつも答えなんか見つからない。
だからきっとみんな、取り付かれる。


………


「……いいよお、ギターは、本当に楽しい……」


そうポツンと呟いた光郎の横顔を見ていると、何だかやっぱり胸が騒ぎ出した。

これは多分、恋なんかじゃないんだけれど。
やっぱり憧れの一つではあるのかもしれない、と納得する。




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