密の味~先生、教えて~


「知らないのか?」


先生の声に悪びれた様子はない。


むしろ私の方が悪い事をしたように声を低くして呟く。


「……言えません」


彼を目で追いながら、私は記憶を手繰り寄せる。


あの日。


卒業目前だったあの日。


彼に告白され、付き合う事になった私に先生は――。


「先生」


目線を彼に向けたまま。


静かに問いかける。


「どうしてあんな事したの?」


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