隣の彼の恋愛事情
「仕事、仕事、これは仕事」
おまじないのように自分に呟く。

それを聞いたアイツが「クスッ」っと、馬鹿にしたように笑うのが聞こえて、私の怒りに油をそそぐ。

これが、私の日常になった。

日々の業務プラス、下僕の仕事で(今日はパシリだけだったから、マシ)私の午前中は矢のように過ぎ去った。

アイツの魔の手からのがれることができる、ランチタイムに私は、早希と社員食堂でオムライスを食べていた。

「紅、最近やつれてない?」
早希が顔を覗き込んで心配してくれている。

オムライスをつつきながら生返事を返す。

「それに、何やらあの鉄仮面の三浦さんと仲良くなってるって噂聞いた――――」

「仲良くな――――い!!」
私は社員食堂の中心で叫んでいた。

「ちょっと、紅!」
早希があわてて私の口を抑える。

我に返った私は、周りの人に頭を下げた。
< 22 / 335 >

この作品をシェア

pagetop