隣の彼の恋愛事情
握られていた手をグッとひかれ、気がついた時にはアイツの顔がすぐそこにあって・・・

アイツの唇が私の唇と重なっていた。

びっくりして離れようともがく私をアイツがさらにひっぱり、アイツの胸に私を閉じ込めた。

重なった唇が、抱きしめられた背中が熱くて、ただ涙が頬を伝う感覚だけが妙にリアルで。


こんな罰みたいなキス――――


アイツと私の物理的距離はゼロになったけど、心の距離は果てしなく遠いままだ。

気持ちのこもらない‘いたずらにされたキス’で自分の気持ちとアイツの気持ちの距離を思い知った。

(私、こんなにもアイツのこと好きになってたんだ・・・)


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