パーカッションに与えられたスペースは、音楽室の教壇のすぐ横だった。
そこに、小太鼓やシンバルといった楽器が立ち並ぶ。
そして、席に座る他の楽器と向かいながら、練習をするのだ。

私が入部した当時、パーカッションは六年生の先輩が一人だけだった。
人数が足りないといったのは事実だったらしい。

小学校の校歌、茶色の小瓶といった簡単な楽譜をもらい、私も練習を開始する。
並んだ音符のとおりにたたくだけ。

小学校に入る前からピアノをやっていたおかげで、音符もしっかり読めた私は、入部したその日に合わせに参加した。
「まあこんなものか」という程度だった。
この時点で、すでに物足りなさを感じていた。

月日は流れ、私は益々やる気をなくしていく。
要するに、合奏の譜面だから、ピアノのようにずっと弾きっぱなしではないのだ。
休みばかりで、合わせも大して面白くない。
だって、叩けば音が鳴るのだから。

同級生の部員は皆トランペットだの、アルトホルンだの、かっこいい金管楽器を片手にしていたというのに、私だけ鉄琴だった。
あまりに面白くない。

私の視線の先は、いつもそれら、金管楽器達だった。
そして、一際私が目を奪われたのが彼だったのだ。

ピストンを使わないその楽器は、スライドと呼ばれる長い管を持っていた。
じっと見つめていると、それで音を調節しているのだと知った。

「重いし長いし邪魔だよね。ペットは小さくていいな」と言ったトロンボーンの持ち主を心の中でそっと貶してみた。
「そんなこと言うなら変わってくれ」と思った。

あまりにやる気のない奏者の手に渡ったその楽器を、自分の手にしたくなった。

だが、今自分は鉄琴の奏者。
彼が、私の相棒なのだ。

他に目移りしてはいけない。
…そう言ってはみるものの、やはり物足りないといったところが本音だった。

楽譜をもらってその日にはもう合わせることができていたのだ。
小学生に合わせた簡単な楽譜で、叩けば音が出る楽器で、満足できるはずもなかった。

金管部員として、私が過ごしたのは、四年生から小学校を卒業するまで。
鉄琴奏者として、私が過ごしたのは、五年生になるまでの一年間のみだった。