1、人間って動物だ。



 学生の頃、勝手に日本を出てふらふらとしていた。

 色んなところに行って、いろんな人に会い、いろんな考え方や立場や見方を知った。

 一日一食食べられるか食べられないかで、よく道端に寝転んでいたりした。

 お腹がすいていたし、暇だったし。

 お金は全然なかったけど、時間だけは大量にあった。タバコも葉っぱから巻いて作って、両手で挟んで吸っていた。

 でも日本にいたら汚いと思う道端だって、寝転んでみればなんてことない。

 日本にいたらイライラする全ての工程が、面倒臭くない。

 日本は、豊かすぎて、朝起きてから夜眠るまでにひたすら何かの選択を求められる。あっち?それともこっち?いつまでに、どこで?一体誰と?選ぶことに、皆疲れてる。

 選択する必要がなくなると、物事はとてもハッキリと見える。

 物がないから選びようがない。

 貰えるものが全て、キラキラと光って見える。

 食べ物も、言葉も、笑顔も。

 隣に寝転がっていた、体中にハエをたくさんとまらせたオッチャンが聞いてくる。

「おまえは何がほしいんだ?」

 それに即答できる日本人が、一体何人いるだろうかと考えた。

 色んな人種、色んな文化。

 だけどどこの道端にいてもいつも思うことは同じ。

 人間って、動物なんだ。