シアワセになりたい
唖然としている私を尻目にずかずか部屋へと入りこみ、男は「腹へってんだけど」と私を振り返った。しどけない格好でも顔だけは整っている、4年ぶりに見る透。
ふざけるなと叫びたいのに、声が出なかった。

「で、出て行って」

ようやく言うと透が眉を寄せた。

「なんでだよ」
「私……来週結婚するの」

声が震える。

「は? なんだよそれ」
「き、急にいなくなって何年も連絡よこさないような男じゃなくて、ちゃんと私を愛してくれる人と、結婚するの!」
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