元カレストーカー
ストーカーだなんて人聞きが悪い。愛する人の傍にいて、何がいけないの?




起きれば、隣に元カレが寝ていた。


逃げようにも、彼の手首と繋がる鎖が、私にまで及ぶならば手首切らなきゃ脱出不可。


悲鳴をあげるべきかと思えど、彼がこうして私の部屋に入ってくるのには、もう慣れたんだ。


人の部屋の合鍵を作る男なんかといられないと、一ヶ月前に別れたわけだけど。


「やっぱ、蒸発じゃダメかぁ」


人は霞にはなれない。姿を眩ます、だなんて言葉あろうが、人間の行動範囲は限られている。


半ば、ストーカー化しているこの彼は、どこにいようが私を見つける。


「ほら、起きて。手首痛い」


繋がれた右手を降りつつ、左手で彼をべしべししてみる。


んん、と呻いて、私の首筋に唇をあてて、甘えてくる彼のつむじを押した。下痢になれ、犯罪者。


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