スーツを着た悪魔【完結】

必死に断ろうとする彼女を見て、ミカは品定めするように、まゆを見つめる。


小さな顔に、漆黒の長いまつ毛。肩の下で揺れるまっすぐな髪。

まゆさんは派手ではないけれど、清潔感のある端正な雰囲気をもっている。
きっと合コンでもモテるはずだ。

普段なら自分のライバルになりそうな子は連れて行かないのだけれど、リストラで落ち込んでる彼女の力になってあげたい。

だって彼女はほかのどの社員よりも自分に優しくしてくれたから。



「恩返しですよ」

「え? 恩返し?」

「いいんですよ、ドーンとミカに任せてください」

「ドーン……って」



なんだかよくわからないけれど、落ち込んだ自分を励ましてくれているのは間違いない。


まゆは呆然としながらも、結局押し切られるようにうなずいてしまった。



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