君からのメッセージ
言葉

「こんばんは」

久しぶりに聞く美和の声だ

「どうぞ」

玄関を開けて美和が入ってくる




最後に見かけたのが

昨年の年末だったと思う

遠目に美和の家族を見かけて

親同士が挨拶をしたくらいで

話してはない



まともに話すのは

一体どれくらいぶりだろう



「久しぶりだよね」

「そうかな?」

「そうだよ。ところでおばさんは?」


美和には今日は遅くなるから居ないってことをメールしていなかったみたいで、一通りの

事を説明した



「そうだったんだ」

「これ、母さんから預かってたやつ」


渡すようにと言われていた化粧品を渡す



「ありがとう。じゃあ帰るね」



美和が玄関の扉を開けようとする







『ちゃんと話を聞いてあげてね』


さっきの言葉が頭の中で繰り返された





「向井…さん」

とっさに、美和の苗字を呼んだ



振り返った美和は一瞬びっくりして

ふっと笑った



「美和ちゃんでいいよ、大くん」


ニコニコしながら

昔の呼び方を口にした



「その呼び方なんか恥ずかしい」


「懐かしいよね」





時間は今日だけじゃ足りないかもしれない

だけど美和と話したい

少しずつでいい


美和の言葉をちゃんと聞こう



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