光の花は風に吹かれて
Act.extra:小さな花をもう1本
「――だからね、私はこれからもセスト様のおそばにいることにしたのよ、エミリー」

ニッコリと、ローズはムスッとした顔で向かいに座っているエミリーに笑いかけた。

「『だからね』の意味がわからないわ。ローズ、ずっと思っていたけれど、貴女ちょっと頭おかしいわよ」

低い声で言い、エミリーが盛大にため息をつく。

ここはヴィエント城の客室。

今日は条約改正についての話し合いに訪れたエミリーと、交流会以来の対面だ。内政が落ち着き始めたルミエール王国は、外交についての見直しを進めているらしい。

会議がスムーズに終わったことや次の公務まで時間があったことから、少しなら姉妹でお茶の時間がとれるとクロヴィスに言われ、この部屋を用意してもらった。

エミリーとは年も近く、後宮でも仲が良いと言える関係だった。エミリーの母親はローズとエミリーが仲良く遊ぶのを快く思っていなかったようだけれど、曲がったことが大嫌いなエミリーはそんなことはお構いなしにローズとの時間を過ごしてくれた。

ちょっと気の強いところは母親似だと思うが、どうしてこんな真面目な性格になったのかはローズも不思議に思っていたりする。

とにかく、ローズのことを心配してくれていた――と、ローズは勝手に思っている――エミリーにセストとのことを一通り話し終え、きっと喜んでくれるだろうと思っていた。

それなのに、エミリーは「頭がおかしい」のではないかなど……さすがに失礼ではないだろうか。

ローズはムッとして頬を膨らませた。
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