晴れのち雨

unconscious


目覚まし時計の音で目を覚ました。
昨日寝るのが遅かったせいか
体が怠かった。


洗面台に立つと目の下に隈が出来ていた。


朝食を終えて学校の準備をした。
天気予報と占いは終わっていたので
テレビを消して家を出た。



自転車を出していると
仕事に行く途中のシュウに会った。

「葵、おはよう!」

「おはよう、シュウ」

上を向いてシュウの顔を見ると「あれ?」と彼の手が私の顔に伸びてきた。


顔を彼の両手に包まれたので
家の前でキスされるのかと焦ったが
違った。

親指で私の目の下をなぞりながら

「体調悪い?」

と心配そうに言う。
勘違いに恥ずかしいと思う反面
些細な事に気付いてくれるのが
嬉しかった。

「大丈夫だよ。
塾で寝るのが遅かっただけ。」

そう答えたのは自分なのに
何故か彼に悪い気がした。


居た堪らなくなった私は

「学校、遅れるから行くね!」

と彼と別れを告げた。
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