晴れのち雨

「波美は病院に運ばれてから亡くなったから、不幸中の幸いにも波美の最後を見届けることが出来たんだが、颯の方は即死だったから遺体を見ることも出来なかったって」


一粒の涙が自分の頬に流れる。

私を見て龍馬さんがハンカチを貸してくれた。


「誰も悪くねぇんだ。」


龍馬さんが呟く。


「なのにアイツは....あの時、無理矢理にでも自分が迎えに行ってたら...
自分が迎えに行かなかったから、二人は死んだんだって思ったみてぇで...」


馬鹿だよなぁ...
と龍馬さんはソファーにもたれた。



「トモのせいじゃないのに。」


「あぁ。アイツのせいじゃない。」


ぽろぽろ零れる涙を借りたハンカチで拭いた。


ふと龍馬さんを見ると目が赤かった。

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