晴れのち雨

授業が終わると死んだように
机に倒れこんだ。

「大丈夫か??
いきなりクラスが変わって疲れたやろ?」


ドクンと心臓がざわつく。保坂先生だ。


「はい。少し疲れました」

姿勢を正して答えた。

あっ...と傘の存在を思い出して鞄を漁る。

「あった。」

「はい、先生。
先日はありがとうございました!」

と傘を先生に出す。


傘を渡した時
前に人差し指が触れたことを思い出して
少しドキドキした。


手が触れなかったことにホッとすると

「わざわざありがとう」

と頭をクシャクシャされた。


その瞬間、全身が熱くなった。



熱くなったことに戸惑っていると

「先生、アオちゃんと仲良くなってるー」

....七瀬ちゃんだ。


彼女の登場に安心していると

「ね?
言った通りアオちゃん良い子でしょ?」

先生に彼女が問う。

「そやな。苗字も一緒やし。
困った事あったらいつでも言いや。
ほな、行くわ〜」

と、教室を出て行った。
その後ろ姿を見ていると

「ね? イケメン風で良い先生でしょ?」

確かに良い人そうだ。
イケメン風なのが残念。
年齢は30歳前ってとこかな....

「確かにイケメン風だね。
スタイル良いのに何かあと一歩!
って感じ。」

「でしょでしょ?!」

そう言って笑う彼女を見て

「あ。だから名前知ってたんだ...」

と、呟く。

「うん。私がこの前アオちゃんの話を先生にしたの」

どうやら彼女は今日の授業の始めに
名前を呼ばれた事を言っているようだ。

私が言ったのは雨の日の出来事。


この後も授業がある彼女とは別れて
塾を出た。










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