たべちゃいたいほど、恋してる。②

《夏とケーキと恋患い》





それは龍之介と優衣がデートの約束を交わした数日後のこと。


午後の日差しのなか、そこだけが何とも重苦しい空気に包まれていた。




「…なっちゃん…どうしたらいいと思う?」




町の片隅に新しくオープンした小さなカフェ。

店内からは甘い香りが漂い、可愛らしい内装はお洒落な家具や小物で綺麗に飾り付けられている。


そんな太陽の光が差し込み適度に冷房の効いたその場所で、優衣はひたすら困ったように俯きながら紅茶の入ったカップを握り締めていた。

優衣の前には涼しい顔をして紅茶を啜っている夏希の姿。


二人の纏う雰囲気はまるで正反対である。




「…別に何でもいいんじゃないの?」


「それじゃダメなんだもん…!」




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