Last flower【執筆中】
5.
「今日から皆さんの家族になります。ええーーと、この子がカスカで、この子がユルカよ。これから一緒に仲良く暮らしましょうね」

カスカとユルカは、パチッと一瞬目を合わせて微笑した。motherは早くも、名札を覗き込まなければ双子の区別がついていなかったから。

パパとママですら、成長するに従って益々似てきた双子達を、何度も呼び間違えていた。

それはちょっとした、二人だけの甘い約束みたいで、彼女達は少しも悪い気はしなかったけれど。

この建物に、チャルの言葉を借りて言えば「ぶち込まれた」子供達を改めて見回すと、全員どこか、何かがずれているようなちょっとした薄気味の悪さや、哀切な滑稽さがあった。

自分達もこれからは、この哀切な滑稽さの一部にされるのだと思うと、溜息が止まらなくなりそうで、カスカは何度も呼吸を整えた。

双子達を見てニコニコと笑いながら「宜しくね!!!」と、不必要に大きな声で挨拶をした、ぶくぶくに太った女の子。

信じられないくらいに背がひょろ長くって、スモックの袖も丈もつんつるてんな、体育座りをした男の子。

ひそひそ話をしながら、こちらをチラリと見ては視線を逸らすチビの男の子達。あの、不潔な歯をした少年はその仲間の輪に入れてもらえず、けれどもそれを少しも気にしていないふうに座っていた。

虫食い歯の少年の隣りで、やはり他の少年達の仲間に加わらず、大人しく座っているのは、紙袋の男の子。あの猫の「イェーイェー」を両手で包み込んでいる。


そして、一番後ろの壁にもたれて、鏡をみながら睫毛にマスカラを塗っているのはチャル。

今日初めて見かける男の子達もいた。

双子達とあまり歳が離れていないように見える。痩せて、肌の色が白くて髪の毛が黒い少年。

その少年はチャルと同じように、こちらにはまったく無関心な様子で、壁にもたれ両足を投げ出した状態で一心不乱に両手を動かしている。

目を凝らしてよく見ると、少年の手には編み棒が握られていて、マフラーか何かを、黙々と編み上げているようだった。

もう一人の少年は編み物をする少年の隣りで胡坐をかいていた。

しっかりこちらを見ている眼鏡の奥の両目はガラスのようにも炎のようにも見える、不思議な光を発していた。

クセのついた茶色い髪はまるでワンコのようだった。

両手を太もも辺りに乗せてゆるく組み、カスカとユルカが自分を見ていることに気づくと一瞬微笑んだ。
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