Last flower【執筆中】
22.
それから数日は何事もなく過ぎた。

全く、人をバカにしているとしか思えないくらいに

青い空は澄み白い雲は流れ穏やかな風は吹き。

けれどもカスカは考えていた。一人で。

あの夜聞いたmotherの言葉は他の三人に話さず、

じっと一人で考えていた。

いつかチャルがそうしていたように

ドロドロ川のほとりに座って、いつものように考え事をしていたら

スイムがやってきた。

「私、もともと人殺しだから。

この先その人数が増えたって構わないの」

痛々しげなスイムの視線を捕らえ、先にカスカが言った。

「軽蔑していいよ」

「軽蔑なんてしねーよ。でもさ」

パッと目を逸らしたカスカの前にしゃがみ、

スイムは祈るように声を絞り出した。

「…隠すなよ。頼むから」

「………」

「知りたいことほど、なんでかよく見えねーんだ。

でもカスカ、何か隠してるだろ?必死で」

「………」

カスカは何も言わず、

スイムが膝の上で組んでいる指をじっと見ていた。

長くてきれいな指だな、と思った。

「…俺がわかるのは…

おまえ、あいつら、殺そうとしてるよな。

…後はなんだ?…俺、そっちの方が怖いんだ」

いつものんびりと喋るスイムの口調が

鳴らすとカチンといいそうなくらい固い。

沈黙が落ちた。

ちょろちょろと小さな音をたてるドロドロ川の流れは

今日も吐き気がするほど汚かった。
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