恋の訪れ

思わず漏れてしまった言葉以外それ以上、声すら出せなかった。

なんで、なんで、なんで。

どうして、どうして、どうして。


今、目の前に起こっている事、自体理解出来なくて。

身体が硬直する。


だって、昴先輩とお姉ちゃん…


分かんない。今、何が起こってるの?

状況が掴めないんだけど。

やっぱ昴先輩は家を知ってたんだ。

じゃなくて、あたしとお姉ちゃんが姉妹だって知ってたんだ。


覗き込むように窓の隙間に顔を入れる。

何か2人で話しているけど、会話すら聞こえない。


そして、昴先輩は持っていたビニール袋をお姉ちゃんに渡し、昴先輩は家から遠ざかって行った。

ガチャンと密かに聞こえた玄関の鍵の音に、慌てて開けていた窓を閉め、布団に潜り込む。


どー言う事なの?

なんで昴先輩とお姉ちゃんが?

しかも昴先輩がお姉ちゃんに渡したものって、何?


気になって、気になって、結局外が明るくなるまで寝られなかった。

だからとりあえず、ママとパパが起きて来る前にあたしは玄関まで急いだ。


鍵を開けて辺りを見渡す。

そして、あたしの自転車の籠の中にポツンと置かれたそれ。

昴先輩がお姉ちゃんに渡してたビニール袋。


その中身を見ると、やっぱ金平糖だった。





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