恋の訪れ

自分でもビックリするほど頑張った。

多分きっと今まで以上に頑張ったと思う。


昴先輩に教えてもらうのは偉そうでムカついたけど、でもその昴先輩のお陰で助かったんだと思った。


あの日から1週間、頑張った結果。

放課後に返された再テストの用紙には赤いペンで79点と刻まれている。


「きゃー、莉音凄いじゃん!なんか莉音に惚れちゃいそー」


ギューっと抱き着く真理子に、なんだか自分までワクワクする。


「ほんとに良かったよー嬉しすぎー」

「ね、早く昴先輩に見せてきなよ。さっき中庭歩いてたよ」

「うん、うん。行ってくる」


昴先輩に見せる為に、あたしは急いで走った。

気分上昇って、きっとこの事なんだろうと思った。


なんたって合格した事によって、香澄先輩にはケーキ奢ってもらえるし、それに昴先輩から、もう“お前”なんて呼ばせない事だった。


でもそう思ってた矢先の事。

やっぱり先輩は悪魔だった。


昴先輩だ!と後ろ姿を見つけて、近くまで駆け寄った、その前にまた女が居た。

この前の女なのかどうかは、分かんない。

でも、昴先輩の前で、泣いてた――…


そう初めて見た、あのコンビニと同じ様に…





< 89 / 241 >

この作品をシェア

pagetop