アドラーキャット



後日、予定していた通りに祐介くんが勉強しに来た。

「判定なんだったの?」

「Sです。」

「もう君たちもっと上目指しなよ‼」

「いや、地元がいいんです。」

なんでだ!?
なぜ地元という地理条件はこんなにガッチリと男子高校生のハートを掴むんだ!?
私は一人もんもんと考える。


「あ、瑞希先輩、本増えました?」

幼馴染故なのか、二人とも同じことに気づいた。

「えへへー、彼氏のなの、あの本。」

また、祐介くんは荻野目くんと同じように目を丸くした。

「彼氏、いたんですか?」

「うん。」

この間も一緒に映画を見に行った。
彼氏がいるっていいよね。
並んでる間も楽しかったもん。

「それ、荻野目にも言いました?」

「うん。言ったんだけど、気悪くさせちゃったみたい。あの時荻野目くん失恋したばっかだったら悪いことしたよね。」

失恋した時に他人の惚気話なんか聞きたくないだろう。
私だったらキレる。
自分が不幸な時に他人の幸せな話なんか聞きたくないよね。

「あぁ、はいまぁ、間違ってはいませんよ。」

お、やっぱり荻野目くんは失恋したばっかりだったのか。
これは本格的に悪いことをしたな。

「ねぇ、じゃあさ、荻野目くんが好きになったのってやっぱりニャンコ系女子?」

好奇心から私がそう聞けば祐介くんは大層気まずそうな顔をした。

「……瑞希先輩って荻野目のことペットみたいに思ってますよね。」

「うん私ネコ派なの‼」


そんな会話をしながら、高校生は勉強に恋に忙しいんだな、と懐かしく思った。


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