アドラーキャット







サークルからの帰りに祐介くんと鍋の材料を買う。

とりあえず私の家に行き、鍋の材料を切り始める。

料理はいい。
何も考えずにただ淡々と野菜を切ったり皿を洗ったりすればいいだけだから。
これが勉強とかだったら気になって全く手に付かないのに。

「瑞希先輩、最近なんかソワソワしてません?」

「え、そうかな?」

人参を切りながら不思議そうに聞いてくる祐介くんに少しドキッとする。
隠していたつもりだったのに隠せてなかったようだ。

ふぅ、と一息ついて白菜を切っていた手を止める。
言ってしまおうか、よし、言おう。

「実はね、」

「あ、先輩、相談だったら鍋煮てる間にお願いします。」




三年間友達として一緒にいて今ほど祐介くんに殺意が湧いた瞬間はなかった。


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