アカイ花†Vermilion Flower

巣立つ生徒†浅緋


駆けて行く里湖の後姿が見えなくなるまで見送る、浅緋。

そこへ、スーツ姿の男性が現れた。


「アサヒ、ここにいたのか
 みんな、待ってるぞ

 どうした、向こうに何かあるのか?」

「いやっ・・・

 手のかかる生徒が巣立って
 行くのは、マジ寂しい」


男性の肩を強く叩いた浅緋は歩き出す。

叩かれた肩を摩りながら、浅緋の隣を歩くのは、いずるだった。


「何となく、その気持ち分かるよ
 同業者としては・・・」

「この春から正式に教員になった
 ばかりの奴に分かるわけない
 つーの
 
 教え子の数も、まだまだ
 少ないくせに」

「確かに!

 でも、俺の教え子の中には
 お前の愛する人もいるよ」


そう、いずるは昔、レイの音楽の先生だった事を思い出した、浅緋。
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