アカイ花†Vermilion Flower

着飾って恋しなさい!


私はそんな二人の会話を知る事はなく、デパートでお土産のデザートを買って芙美子の家へ。

芙美子とは相変わらず仲良しで、こうして彼女の旦那様がお留守の日は夕食をご馳走になる。

彼女の料理は絶品で、これぞ料理です!と改めて認識させられた。

私も、これでも妻だった頃は、料理は得意な方でいろいろと試してはレパートリーを増えしていたけれど、離婚してからはまともな料理を作った事が無い。

だって、料理にかける時間は億劫で、家事なんて面倒くさいものは大切な人の為じゃなきゃやらないと思う。


今現在、大切な人がいない私は、包丁を握る予定も無し。


ああ、あの例の約束をキャンセルする彼?

彼は大切な人ではないし、シェフだから自分で作れるんじゃないですか?


それに彼には、私以外に守るべき人がいるもの。

彼は左手、薬指に堂々と指輪をはめて私に逢いに来れる関係。

そう、それを人々は不倫と言う。
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