アカイ花†Vermilion Flower

体温は感じない


それからの私はいずるさんの傍に居て、必死に二人の愛を守ろうと思った。

だけど何故だかわからないけど、守ろうと思えば思うほど二人の間に亀裂が走る・・・

真夜中・・・

シングルベッド、ひとつの布団に寄り添って横たわり、甘い口づけを交わせば体の芯がポカポカと温かくなって、もっと貴方に触れたくなって、触れてほしくなって・・・


「いずる・・・?」

「さあ、もう、寝よう
 明日も早い」


私達は愛を伝え合い今こうして付き合っているのに、キス以上は何事もなく、貴方の背中に寄り添って眠るだけの日々を私は過ごす。

そう、彼が求めていたのは母性的な愛、二人が男と女である意味はない。

子供を可愛がるように貴方の頭を撫で、貴方を愛せば、それでいい。

私は貴方を温かい愛で守ればいい。見つめればいい。ただ、それだけ・・・


じゃあ、私の望む愛はどうすれば得られるの。

どうすれば、私はこの愛に満足するの?


『愛してる・・・』


その言葉を、貴方は毎日私にくれるけど、それは言葉だけで、どうしたってこの目には見えない。
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