瀬々悠の裏事情
定期報告 其の弐



問題ない。通常通りだ。
詳細という詳細もない。
現在はただ任された依頼をこなしているところだ。
ここ一週間以内には大方片付くだろう。
社長に迷惑を掛けることはないかと。

ん……未夜か。
彼女も何ら変わりない。
目立ったミスもなく、私のサポートをする傍ら、自らの仕事もこなしている。
まぁ相変わらず気弱で、押しに弱いのは否めないが。
五代目を継ぐのであれば、もっと自分の意見を言ってもらわねば困る。
今はまだ私がいるからいいが、このままでは他の二人に追い抜かれるのが目に見える。
特に瀬々は普段は殴りたくなるほど生意気さが目立つが、仕事に対する意識はプロだ。
情報を手に入れるの為なら自分の全てを駆使して、更には上司だろうがなんだろうが利用出来るものは利用する。
そこに一切の妥協がない。
智昭の後任とは思えないほど、貪欲で食えないヤツだ。
現状での実績は乏しいが、油断はしない方がいい。
ああいう奴ほど化けるからな。

テオも同様だ。ねねさんは彼の近頃の行いに困っているようだが、後任と選んだだけあって能力は総じて高い。
まぁ報告書に落書きしたり私の眼鏡を隠したり、智昭が引き出しに隠している菓子を盗み食いするくらい、まだ子供だがな。

どちらも数年後が楽しみだ。
もちろん、未夜にも期待している。
彼女は私の後任だからな。


.
< 2 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop