苺な彼女と、エスカルゴな彼。


どうにかならないものかと、顔の筋肉をほぐしたりしているとふと思い出すことが一つ。


「ねえ、母さん。"エスカルゴ"って知ってる?」

「知ってるけどそれがどうしたの?」

僕は母さんに、今日のイチルちゃんとの会話について話した。


もちろん、甘い時間は省いたし、それがベッドの中でしかも二人で裸になって…なんて死んでも口に出来ない。

母さんのことだから、それで軽く10年は僕のことをからかい続けるだろう。



「ふーん。それにしてもイチルちゃんったら、あんたをエスカルゴに例えるなんてやるわねえ…」

「え、それって母さんも認めるの?というか、エスカルゴって一体―…」

僕の言葉が言い終わらないうちに、母さんは僕を横目で見てニヤっと不気味な笑みを浮かべた。




「そういえば、隣の部屋にイタリア料理の部屋があったわねえ。見つけてこよーっと。ふふふーん…♪」

呑気に鼻歌なんか歌って。


「はあ……」

要するに自分の目で見て確かめろ、ってことか―…。
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