僕が君にできること
足が遠のいていた。

彼が帰っているから行かなかったのもあるけど、なんか避けてしまっていた。

踏み込んじゃいけない危険な場所に思えて…。

それとは裏腹に行きたくてしょうがなかった。

そして来てしまった。

本当に久しぶりだ。

好きなコーナーで漫画を物色する。

「これ!よかったな~もう1回読もうかな~」

そうだ!2Gの彼に現実逃避させてもらおう。そうしよう。

今日は読むぞ!とカゴに思い切り10冊放り込み、お決まりのドリンクを取りに行った。

その隣に誰かが立った。

横に気配を感じながら鼓動が弾みだした。

横目にチラッと手元を見ると、あの手ではなかった。

ガッカリして振り向くと上司と同じ年恰好のサラリーマンだった。

思い切り残念な表情が顔に出てしまっていた。あなたには罪はないごめんなさい・・・・。

いるわけない!むしろいないで!!!

そう気持ちを切り替えいつものスペースに潜り込んだ。

忘れよう。この場所に来て出会えなければ、あれは夢と思える。

そしてまたいつもの日常に戻れる。

そのつもりで来たのに。いないことにガッカリしてまう。

余計傷口を広げてしまった。

そんな悶々とした気持ちでも…泣ける。

前に読んだシリーズをもう一回読み直しまた泣いた。

そう。私には絶対裏切らない2Gの彼がいてくれる。

それだけでいい。

原点に立ち戻りドリンクのおかわりに行くことにした。

dietペプシに行こうと思ったけど・・・・なんとなく烏龍茶を選んだ。

注ぎ口をぼんやり眺めていると隣のサーバーの方に人が立った。

あのサラリーマンでしょ…。

一回がっかりしたし。あえて振り向かず行くことにした。

烏龍茶を引き抜き戻ろうとした。

その瞬間甘い香りが絡みついてきた。


あの時の香りだ。

振り返ると片手にページを開き読みふける子犬が立っていた。

そして相変わらず飲み物が溢れかえっていた。

「ペプシ溢れると悲惨だよね」

私の声に子犬は振り返った。


しっぽを振っているように見えた。











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