僕が君にできること
「酒井さん応援しているんだ?いつも気合の入った声援が聞こえてくるよ」

そう言って彼女を振り向くと真っ赤な顔をして俯いていた。


「恥かしい~。私夢中になると周り見えてないんですよね…」
「うちのチームを応援してもらっているんだから嬉しいことだよ」

そう言って烏龍茶とdietペプシを差し出した。
「どっちがいい?」

彼女はdietペプシを受け取った。
「ありがとうございます」

ボトルを開け一口飲むと彼女はつぶやた。
「私も中高とバスケットボールやってて、ずっと控えでした。気合だけかわれて控えに入れてもらっていたって言うか。だからあなたの気持ちわかります。
あとちょっとであの舞台って気持ち、わかります」

真剣にコートを見つめ言った。

俺としては…同情されいるようで複雑な気持ちだった。
でも何だか嫌味にならない彼女に笑ってしまった。


「頑張ります」
「頑張ってください」


やっぱり真剣に返す彼女に話す前とは違う感情が溢れていた。
とにかく真っ直ぐな子だった。
その後二人でバスケットボールのことを時間を忘れるほど話した。



それからは試合の後には必ず声をかけその日の試合について偉そうに二人で論議するのが普通の流れになっていた。
   

彼女といると肩の力が抜けるというか力を入れすぎていることに気づかせてくれた。


へなちょこな俺は、朋のあの強烈な声援を自分に向けて欲しいその思いで必死になった。


そしてスタメンに選ばれた。


コートに入ると俺は朋のいる場所を探した。彼女にだけわかるように右手をあげた。

朋にかっこいいとこ見せたい。ガキみたいな思いは計り知れないパワーを見せるもので、俺は初スタメンでシュートを決めた。


筋書きどうりだった。気持ちよかった。試合後いつものように彼女に会い興奮した思いをそのまま伝えたんだ。


「あなたのために決めた」今思えば恥ずかしくなるような言葉だったけど、俺の精一杯だった。


それが俺と朋の始まりだった。

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