僕が君にできること
破壊的な衝撃で気を失いそうになった。

「あああありえないでしょ・・・・叫びますよ私。」

これ以上離れられないと分かっていても、壁に背中をへばり付け距離を取ろうともがいた。

「ここここれって犯罪ですよね・・・・雑誌に載っちゃったらやばいんじゃないんですか?」

しどろもどろになって慌てる私を見てその男は吹き出した。

「すみません。悪ふざけしちゃいました。なんかあなたが可愛らしくて。」

近づこうと四つ這いになっていたその男は、胡坐をかいて座った。

「僕のこと知ってました?」

上目遣いでその男は見つめてきた。

その男が離れ、力が抜けた私は上ずって声で答えた。

「知らない人なんていないんじゃないですか?」

一瞬俯き「あなたも知ってるんだ…。」とその男は遠くを見つめた。

「そりゃ有名ですよ。現に私の友人もあなたの大ファンです。」

その後の返答がなく沈黙が流れた。
  
沈黙を破るようにまだ警戒している私に奴は真っ直ぐな目でまた近づいてきた。

テーブルに手を付き触れそうなほど奴の鼻先が近づいてきた。

「だから・・・・叫びますよ。」

そう呟いた私の口を奴の人差し指が塞いだ。

その時だった。

彼からのメールの着信音がこの時間にストップをかけた。









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