地方見聞録~人魚伝説譚~
終章




 人間の娘と、人魚の男は晴れて夫婦となる。

 かつてはその土地は人魚が姿を見せぬことから、"呪われし土地"などと呼ばれたことがあったが、人間の娘と人魚の男によってそれは変えられ、解放された。


 のちに続く数年の間、人々は平和に暮らした。


 人間の娘と人魚の男には子が出来、その子らは成長しすばらしい功績を残すこととなる。

 一人は異国からの侵略をとめるために立ち上がり、一人は病に苦しむ者達を救う術を教え、もう一人は―――――。




「海を統べる者となり、人間と人魚の懸け橋となった」




 今でもその話は残り、場所もはっきりとしているが、その村は繁栄し、現在は都市ともいえる場となっている。

 そして、村に伝わっていた宝玉は海に沈んだまま、今でもその一帯を守っているという。







地方見聞録~人魚伝説譚 より





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