関谷くんは。【短編】


それが始まったのは
いつからだったんだろう。



二年のときも一緒のクラスで
三年に上がっても同じクラスで



ふと、目が合った瞬間
彼は必ず机をシャーペンで二回叩いて



それに応えるように
私も彼に向けて
シャーペンで机を二回叩く



すると彼は私から視線を外し
口角を上げる



その瞬間、彼の瞳は前髪に隠れてしまうけれど



秘密めいたその笑みを刻む横顔に
私は胸が苦しくなる



真っ黒で柔らかそうな
長めの前髪とか



骨張った鎖骨に
大きい手とか



長い脚を邪魔くさそうに
組んでる姿とか



彼を構成する全ての要素が
私の胸を苦しくさせる


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