たった一つのお願い

観察3



翌朝、やはり睡眠時間が少ないのは痛手だった。


まぁ、職業柄少ないのは日常茶飯事なのだが、それでもやはりとれるべき時はとるべきだったと後悔する。


今日何度目か分からない欠伸をした後、付き添いの看護師が俺に尋ねてきた。




「昨日は夜おそかったんですか?」



「まぁ。友人と飲みに行ったので」




あぁ…プライベートな事をいきなり尋ねられるのは苦手だ。
夜、と言われあらぬものを想像されても困るので念には念を入れておいて飲み会だと告げる。


病院内では学生時代同様、堅物を貫くつもりだ。
これ以上女性の誘いが増えても困る。今回は祐司にも釘を刺したから大丈夫かと思うが…アイツの事だ。あまり充てにならない。
現に昼休み、誘いが未だに途絶えていない。
あぁ…なんだかデジャヴがする。それも悪い方の。




「三神先生もお酒飲まれるんですね。意外です」




そこまで“堅い”と思われてたのか。…まぁ、そう思われすぎるのは悪くない。
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