テントウ虫は、いつだって
「いーい?普通、抱き合うだとかキスだとかは好きな人……愛し合ってる人とするものなの。分かる?」


「愛してやまない人のためにか…、ならマミともできるぞ。私はマミが好きだし愛してる。

そうだな、これは…友愛という名の愛だな。愛は素晴らしい」

「先輩っ、俺は先輩だけを愛してますからね!」



主人にキラキラお目々で見つめるペット。うん、まさしくこの表現が一番であろう。



「はあ………。イチカ、私が言ってる愛ってのは友愛のことじゃないの。
『恋愛』の愛なのよ」

「恋愛…」

「そう、コタくんの気持ちは恋愛という意味の愛。イチカに恋してるの」


「コタが、私を?コタ、そうなのか?」

「ええぇっ?…うーん、そうですねぇ。俺は先輩のペットみたいなもんですから……言うなれば家族愛みたいな感じです」

「家族。そうか、そうだな。コタと私は家族だ。コタ、愛してる」

「はうぅっ!先輩っ、俺も先輩を愛してますーっ!」



「………って、チッガーウ!!!」



今まさに主人とペットの触れあい(という名の抱擁)が始まろうとした所を、またもやマミが止めに入る。



「早まっちゃ駄目よ、コタくん!
君は最初からイチカのペットだった?違うでしょ?
君がイチカに告白したのは何故?
イチカに恋してたからなのよ!」


「コタ、そうだったのか?」

「まあ、恋と言ったら恋だと思います。でも今は先輩の傍にいられるだけで俺、幸せなんです!
だからペットでもいいんです!」

「コタ……」

「先輩っ…」



見つめあい、微笑みあい、二人してラブモード全開。

ここまでくると主従関係より恋人関係に見えないこともない。


そしてそれを遠巻きに見つめるマミ。



「(はあ……、全く。いつくっつくんだか…。もどかしいにも程があるっ)」



何度目か分からぬ溜め息をついているのであった。

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