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「新しいスーツ買おうと思うんだよね。ちょっと、見ていい?」



あの予告プロポーズから1週間後の週末、何事もなかったかのように、菜月は佑介と街に買い物に出かけていた。



入ったお店は、駅ビルの中にある店舗の1つだった。菜月は、スーツのある店に入る時、つい敏輝が働いていた店と同じ名前の店ではないか確認してしまう。



「これにするかな?すみません。」



週末ということもあって、店内は多くの人がいた。佑介は、近くで違う客の接客をしている店員に声を掛けた。菜月は、自分用のブラウスを見ようかなとレディース商品が置かれている売り場に目を向けていた。



「すみません、大変お待たせしました。」