店のドアを開けると、カランとした音が鳴った。



「いらっしゃいませ、菜月ちゃん?」



「来ちゃった。」



オーナーの問いに、精一杯、笑いながら茶目っけたっぷりに返事をした。中を見渡すと、お客はいなかった。



「今日は、1人?」



「そう、ちょっと飲みたくなっちゃって。」



菜月は、涼子と来た時のように、カウンターの真ん中の席に座りながら、隣の席にカバンと脱いだコートとマフラーを置いた。