あの日の空

ただただ青く輝く空を見ていた。

空を見るだけで心の中の汚いものが流れて行く気がする。

「一年生は体育館に入ってください。」

どこからか聞こえてくる放送。

私は体育館に行こうとした。

何も気にせず後ろを振り返った。

その後ろには

私より30cmほど背の高い男の人が立っていた。

「うわっ」

びっくりして思わず声を上げてしまった。

「あ、ごめん」

「・・・。」

「空綺麗だな、俺も空好きなんだ」

にこっと笑いながらキラキラした大きな瞳で言う。

「そうですか」

私はぼそっと言い体育館に向かった。

あの人はまだずっと上を見上げてた。

雲一つないきれいな空を。
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