トライアングルな恋

お兄さんside


「あーそうそう、お兄さんこれ食べていいよ」

そう言って差し出してきた弁当。

開けていないことが、目に見えるくらい綺麗にバンダナでくるんである。

「お前食わねーの?」

聞いた瞬間、女が寂しそうな顔をするが、すぐににっこり笑った。

「お姉ちゃんに持ってきたんだけど、今日は自分で作ってきてて、要らなくなっちゃったの」

「だから、お兄さんが食べるならあげる」そう付け足して、再度、俺に差し出す。

「要らなかったら捨てていいよ。どうせ誰も食べないし」

少し寂しそうに弁当を見ながら言う女。

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