SトロベリージャM
木製のベットから、木製の床に足をつけ、木製の壁にかかった木製の鳩時計を見た。


彼女は、薄いピンクとパープルのグラデーションがついた、シフォンのワンピースを着ている。


あと1分で5時になり、鳩のハッピーがメロディーと共に出てくる予定だ。



部屋はもちろん、家自体が木製でできている。


家は、森に囲まれている。


この地域は、森の中にあるといってもいいかもしれない。


最低限に留めた道路には、コンクリートの部分はほとんどなく、土のまま。


あとは、民家や必要最低限の商品が揃う小さな「なんでもやショップ」、畑や田んぼ、そして、ペンキが剥げた遊具がちらほらある古びた公園くらいだ。



昔、宿泊施設だった小さなロッジを、自分の家としてもらい受けた。


殺風景だったリビングも部屋も、小動物や小鳥などの置物が、あらゆる場所にランダムに飾られている。


そして、絨毯やランチョンマットなどの敷物は、花柄や果物柄で彩られている。



一番のお気に入りの場所・・


それは、台所の先につながるひとつの部屋。


その部屋には、ショーケースがあって、中には色とりどりのジャムがある


水玉や花柄の可愛いフタの小瓶が並ぶ。




ここは、ジャムを死ぬほど愛するマニアの部屋の一角なんだろうか?


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