SトロベリージャM
これから、どうやって森を守るか、実野里は毎日考え込んでいた。


みんなのためにも、失敗はできない。


先のことを考える度に、恐怖とプレッシャーで押し潰されそうになった。


それとは裏腹に、ダイと過ごす時間は、ゆっくりと和やかに進んでいった。


そんなある日、事件は起こった。


早朝、実野里は、大樹のすぐ傍で育てている、ストックの花を摘んだ。


実野里が生まれる前から、母親が毎年、そこで育てていた。


幼いころから手伝ってきたので、今も当たり前のように、ずっと育てているのだ。


2人とも、この花が大好きだ。


春に花が咲くので、今が満開の時期だ。


(ダイの部屋は殺風景だから、花を生けて明るくしてみよう。)




いつもより、20分ほど早く副社長室に着いた。


(綺麗な花瓶も持ってきたし、可愛く生けてあげるからね。)


花たちの命をもらったのだから、気持ちを込めて丁寧に生けようと思った。


短い茎の花を手前にして、後ろにいくほど長い茎の花を持っていき、奥行きを出した。


赤、黄、白、ピンク、紫、色とりどりのストックが並んだ。


普段から、花を生けている実野里は、出際良く作業を進めていった。



(できた~!!ダイの机の上に置こう。喜んでくれるかな?)


  


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