そばにいるよ。
朱翔と緋里の過去
――朱翔視点――
昔、俺は、家族の1人を置き去りにした。
名前は、桜井彌丹。
俺の妹だ。
誰にでも、優しくて、自分の気持ちは後回しで、困っている人を放って置けず、自分より相手を優先して――
家族の誰よりも、家族を大切にし、信じていた。
例え、誰かが、嘘を付いたとしても。
そんな彌丹に甘えて、俺と緋里は、兄妹だったけれど、隠れて付き合っていた。
二人だけの秘密。
勿論、彌丹にも言ってない。
隠れてだけど、俺たちは小さな幸せを壊れないようにと、守っていた。
だけど、ある日。
それが、彌丹にバレてしまった。
いけないことだとしても、彌丹に真剣に、彌丹なら解ってくれると信じて、伝えた。
だけど、彌丹はこんなことを言った。
『私も、ずっと、お兄ちゃんを愛してた。』
と。
それを聞いたとき、俺は、何故か、あまり驚かなかった。
心の何処かで、気づいてたのかもしれない。
彌丹が、密かに俺を想っていることに。
だけど、俺は『緋里が好きだ』と、彌丹に伝えた。
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