神龍と風の舞姫
接触
木漏れ日の漏れる深い、深い森の中
樹齢何千年を超える大きな木の根元にこれまた大きな空洞があった
時折風にまぎれて笑い声が響く
「物好きだな、風の舞姫よ」
低く地から響く声は、とても落ち着いていて耳に心地いい
「え?そう?私としては普通だったんだけどなー。直感第一なしるふちゃんだからさ」
にこっりと笑って見上げたさっきに居るのは大きな羊だ
体はしるふの身長の3倍ほど
踏まれたらあの世行きだろう
決してふかふかと言い難い毛並みは、彼の年齢を物語っている
伏せられた瞳はあまり機能していないような気もしないでもない
それでも瞳が宿す光は穏やかだ
この羊はこの森の神
海斗の知己でこうして旅の途中に足を運んだ訳だ
つくづく知り合いの多い海斗である
しるふが彼を談笑している間、本来の知り合いである海斗は太い木の根の上に腰かけ幹に寄りかかり通り過ぎる風を感じている
時々話を振ってみるけれどあまり長い回答は期待できない
「あ、でもねひどいんだよ。海斗ったら前日に会った私のことも覚えてないの」
不満げに出逢ったころのことを話すしるふに、羊の愉快そうな笑い声が届く
樹齢何千年を超える大きな木の根元にこれまた大きな空洞があった
時折風にまぎれて笑い声が響く
「物好きだな、風の舞姫よ」
低く地から響く声は、とても落ち着いていて耳に心地いい
「え?そう?私としては普通だったんだけどなー。直感第一なしるふちゃんだからさ」
にこっりと笑って見上げたさっきに居るのは大きな羊だ
体はしるふの身長の3倍ほど
踏まれたらあの世行きだろう
決してふかふかと言い難い毛並みは、彼の年齢を物語っている
伏せられた瞳はあまり機能していないような気もしないでもない
それでも瞳が宿す光は穏やかだ
この羊はこの森の神
海斗の知己でこうして旅の途中に足を運んだ訳だ
つくづく知り合いの多い海斗である
しるふが彼を談笑している間、本来の知り合いである海斗は太い木の根の上に腰かけ幹に寄りかかり通り過ぎる風を感じている
時々話を振ってみるけれどあまり長い回答は期待できない
「あ、でもねひどいんだよ。海斗ったら前日に会った私のことも覚えてないの」
不満げに出逢ったころのことを話すしるふに、羊の愉快そうな笑い声が届く