溢れ出す想いを君に。
溢れ出す想い。
「いつ、帰ってきたんですか?」
「昨日。それよりお前さ、俺の事が好きだったんじゃねぇの?」

誰から聞いたのか?私に彼氏が出来たのを知った先輩に連れて行かれた誰もいない体育館で、私の右手首を握りしめ言った先輩の言葉に私の心臓が尋常じゃない鼓動を刻む。

先輩が言う通り、私はずっと先輩の事が好きだった。中学の時にバスケ部で人気者だった先輩に憧れて好きになって。同じ高校に進学してバスケ部のマネージャーになる程先輩の事が大好きだった。

2年のバレンタインの時に最後のチャンスだとチョコ渡して見事に振られたけど、やっぱり大好きで。

高校卒業して二年。彼氏ができてやっと忘れられたと想っていたのに。同窓会で行った母校でまさか先輩に会うなんて。アメリカにいるって聞いてたのに。どうして?

「離してください。もう、そんな事、忘れました」

三年振りに会った先輩は大人びて素敵で。緊張で直視できない。油断したら今にも溢れてきそうな涙を堪えながら。平然を装い俯き呟いた言葉が胸を締め付ける。

「先輩。離してください。私には彼氏がいるんです」

どうして今になって、こんな事するの?あの頃は私の事、ただの後輩しか思えないって私を振ったじゃないですか。

なんで…今なんですか?

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