†captivity†(休載)

──伝えること



その後、心くんはまた勉強に戻り、あたしは帰ることにした。

ほら、勉強の邪魔になると嫌だし。

それに朝から衝撃的過ぎて忘れていたけど、学校あるし。











あれ、実は遅刻決定なのでは?












「あら和歌、今帰ってきたの?」

「おか…さ……」



こういう、遅刻決定のような良くない行動を親に見られた時、どういう対応をすればいいのだろうか?

サァァァと血の気が引く。



しかし。



「学校行けそうなら、ご飯しっかり食べてから行きなさいね」

「……え?」



普通なら怒られるであろう場面で怒られていない、母の対応に違和感を抱く。

いや、実際悪いのは拉致を企てた心くんと知歌のせいが大半なのだけど……知歌?

もしかして……知歌が?



「お母さん、知歌は……?」

「もう学校へ行ったわ。今日は随分と早くから起きていたみたいだけど、和歌の関係なのかしら?」

「え!?あ、うん、そうみたい」



身ひとつで緒方先輩の部屋に行っていたあたしは今、何も持っていない。

パジャマを隠す緒方先輩の上着と、サンダルだけだ。

後で返さなきゃ。



知歌が企みに加担していたのなら、なにか説明があるはず。

自分の部屋に行き、充電器に刺さったままでいたそのケータイを抜き、画面を開く。

予想通り、そこには知歌からのメールが受信されていた。
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