瑠哀 ~フランスにて~

-7-

「あなたの家に行く前に、私も彼らと話をしなければならにので、

ちょっと待っていてください。

セシル、一緒に来てくれない?

彼もユージンと話がしたい でしょうから」


 セシルはユージンとマーグリスを交互に見やり、心配そうに眉を寄せて瑠哀をもう一度見る。


「さっきのことを謝るなら、私達は席を外した方が彼も気が落ち着くでしょう?

―――何度も言わせないでくださいね。

二度のチャンスはありませんよ」


 瑠哀はマーグリスにチラリと視線を投げ、セシルの肩を軽く押して部屋から出るように促した。


 ドアを開けると、ピエールと朔也の二人が待っていた。


「こういうことになったの」

「やっぱりね。

初めから、あいつの家に行くつもりだったんだろう?」



 ピエールは半ば呆れたように溜め息をついてみせた。

 瑠哀は上目遣いでピエールを見、小さな苦笑いをする。



「養子にしてた息子だって?

まさか、こんな近くにいたとは思わなかったな。

彼の家に行く方が、危険じゃないのか?」

「うん。―――そのことで、彼女に話があるの」


 そう言って、瑠哀は横のセシルを振り返る。


「ちょっとここでは話せないから、向こうに来て欲しいんだけど」
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