瑠哀 ~フランスにて~
Part 3
「――そろそろ、パリを出るわ。

こんなにお世話になっていながら、申し訳ないんだけれど…」

「パリを出る?どこに行くんだ?」


 今日は、パンセンヌの森に来ている。

 ここは、動物園や花植物園、博物館などいろいろと観るところがあって、半日は軽く過ごすことができた。



 瑠哀がパリに来て七日目である。



「特に決めていないの。南の方にでも下って行こうかと考えていて」

「一ヶ月はいるんじゃなかったの?」

「そうよ。

大体の予定では、ね。

もともと、パリには一週間くらいしかいるつもりはなかったの。

他のところも廻ってみたかったから」

「パリはつまらない?」

「そんなことはないわ。

思った以上に、素敵な場所だったわ。

かわいい小物のお店もたくさんあって、ずっといても飽きない所だわ」

「だったら、なぜ?」

「なぜ――と言われたら、特に理由はないんだけれど……。

―――そうねぇ、ショッピングは、もう少しお金を貯めてからもう一度来ようと思っているから。

それに、いつまでもサクヤの所にいるわけにもいかないし」

「俺は、全然気にしてないよ」


 前を歩いていた朔也が、半分首を回すようにして瑠哀に向いた。



 瑠哀は首を振った。

 朔也の家に移ってから、朔也はほとんど瑠哀と一緒にいてくれている。



 こうしてピエールと会う以外は、ほぼ瑠哀のボディーガード状態になっているようで、とても気が引けていた。
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