【短】キャンバス
キャンバス



彼…と言っても『彼氏』ではない。
けど、好きだった。
友達として――ではなく、『異性』として。



少しだけ…彼のことについて触れよう。



私が言う彼――北結 純(きたゆい じゅん)とは、高校生の時に出会った。
どこにでも居そうな、普通の男の子だけど彼の言葉はいつも私の心に深く残るものだった。



彼はいつも一人でいた。
つるむのが苦手みたいで、一人でいても堂々としていた。



私が彼のことを見るのは、放課後の部活。
同じ美術部で、あまり話さないけど目が彼を追っていた。
真っ直ぐキャンバスに睨むように向かっている姿がとても格好良かった。



完全に私の片思い
だけど、彼は私の想いに薄々気づいていたと思う。



私はわかりやすいから。
手が触れると恥ずかしくなるし、声をかけられただけでドキンッと胸が高鳴る。



なのに彼はいつでも普通で、私だけ浮かれているように思ってしまう。




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