背中の彼
妄想から恋
今に始まったことじゃない。


そもそも浮気のラインっていうものが個人の尺度に任され、全世界共通じゃないのがおかしい。


視線を交わしただけで浮気と感じる真面目な人だっているだろう。そしてその逆の考えのやつだっている。


その逆の考えをもったふしだら男が私の彼だ。



あの男、裸で絡まないのが俺のラインだとのうのうと語るが、そりゃ当たり前の事だ。
加えてキスってものは欧米では挨拶がわりに交わされているものだとほざきやがる。


お前には『郷に入っては郷に従え』ということわざを教えてやろう。そんなにチュッチュクついばみたいなら欧米へ行ってしまえ!ここは残念ながら日本だっちゅーの!!!



バカ男はまた合コンに参加し、運悪くそこに居合わせた友達が通報して来た。



最近頭にくるのを通り越して呆れてしまう。



とりあえず電話で問い詰めると、懲りもせず言い訳を並べる。



「わかった落ち着こう、会って話そ。いつものとこで待っててすぐ行くから」とあっちから電話を切る。



お前から切るな!余計にイラつく!!



いつもの場所っていうカフェにも私が先に着いて待っているってどういうことよ。



あんな奴と付き合うんじゃなかった・・・・・・付き合うんだったらあの背中の彼にするんだった。


カフェの向かいのビルに入ったカルチャースクールに、いつもその背中の彼はいた。








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